日本

2020年08月24日

生きること  


人は一人では生きていけない

誰かの為に何ができるか 日々考えて生きていきたい

そうしたら僕自身も

生きていてよいのだと 思えるだろうから


- 寮美千子 編 『 世界はもっと美しくなる -奈良少年刑務所詩集- 』

(新潮社)より -







 


みやこオンマmiyako_omma13 at 20:02
  生きる  


 美しいこと

 楽しいこと

 悲しいこと

 生きること

 生きることは 活(い)きること


- 寮美千子 編 『 空が青いから白を選んだのです -奈良少年刑務所詩集- 』

(新潮社)より -

 



みやこオンマmiyako_omma13 at 19:54

2016年04月18日


 きっと・・・       


わたしが よく使うことば

きっと・・・


つらいとき

悲しいとき


わたしは

あのときから


きっと・・・

と 一歩前へ出ることにした


きっとまた逢える

きっとがんばれる

きっとわたしは孤(ひと)りではない

と 手あと

  足あと

  口あと

いっぱいつけて


気の弱いわたしは

日ごとのことば丸めて

きっと・・・

と あしたへ向けて

今も 歩いているのです


- 水内喜久雄 ・ 編 『 続・一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある 』

  (PHP) より -              


みやこオンマmiyako_omma13 at 13:23

2015年08月14日


 じぶんのための子守歌   


 吐く息が ため息のように通りすぎると

 わたしは目を閉じて 心の扉をひらき

 忘れていた風景を さがしはじめる

 そしてうたう子守歌

  ー自分で自分を ゆすってやって


「 ひと 」 って せつないね

「 ひと 」 って さびしいね

「 ひと 」 って がんばるね

「 ひと 」 って けなげだね

「 ひと 」 って おかしいね

「 ひと 」 って がんこだね 

「 ひと 」 って こわがりね

「 ひと 」 って ふしぎだね

 そして それだからこそ


「 ひと 」 って いじらしいね


 吐く息が しずまり

 わたしは ゆっくり眠りはじめる

 あおむけに寝て 地球に抱かれ

 寝返りうって 地球を抱いて

 抱いたり ・・・・・・ 抱かれたり

 抱いたり ・・・・・・ 抱かれたり


ー 工藤 直子(くどう なおこ) 『 じぶんのための子守歌 』 (PHP研究所)より ー



みやこオンマmiyako_omma13 at 21:56

2015年03月11日


 花を持って、 会いにゆく     


春の日、 あなたに会いにゆく。

あなたは、 なくなった人である。

どこにもいない人である。


どこにもいない人に会いにゆく。

きれいな水と、

きれいな花を、 手に持って。


   〈中略〉


ことばって、 何だと思う?

けっしてことばにできない思いが、

ここにあると指さすのが、 ことばだ。


   〈中略〉


春の木々の

枝々が競いあって、

霞む空をつかもうとしている。


春の日、 あなたに会いにゆく。

きれいな水と、

きれいな花を、 手に持って。


- 長田 弘(おさだ ひろし)詩集 『 詩ふたつ 』 (クレヨンハウス)より -   



みやこオンマmiyako_omma13 at 18:23

2015年02月22日


 立ちどまる 


立ちどまる。

足をとめると、

聴こえてくる声がある。

空の色のような声がある。


「木のことば、 水のことば、

雲のことばが聴こえますか?

「石のことば、 雨のことば、

草のことばを話せますか?


立ちどまらなければ

ゆけない場所がある。

何もないところにしか

見つけられないものがある。


ー 長田 弘(おさだ ひろし) 『 長田 弘詩集 』(ハルキ文庫)より ー



  


     

  


みやこオンマmiyako_omma13 at 00:12

 静かな日  


目は見ることをたのしむ。

耳は聴くことをたのしむ。

こころは感じることをたのしむ。

どんな形容詞もなしに。


どんな比喩(ひゆ)もいらないんだ。

描かれていない色を見るんだ。

聴こえない音楽を聴くんだ。

語られない言葉を読むんだ。


たのしむとは沈黙に聴きいることだ。

木々のうえの日の光り。

鳥の影。

花のまわりの正午の静けさ。


ー 長田 弘(おさだ ひろし) 『 長田 弘詩集 』(角川春樹事務所)より ー  
   




みやこオンマmiyako_omma13 at 00:11

2015年01月28日


 過去というタンス  


今まで着ていた キモノも服も

どこへやったの

あゝあれはネ

過去というタンスの中にしまって

置いて来たの

泣くだけ泣いて

吐くだけ吐いたら

もう何もない

思い出も みれんも―

これからは 新しい自分を見つけ

新しい未来を探しに

両手をあげ

深呼吸して 飛び立つの

〝命〟という翼にのって


- 佐藤紫華子 詩集 『 過去というタンス 』 (朝日新聞出版) より -

                


みやこオンマmiyako_omma13 at 23:46


 雨よ やさしく   


雨よ どうか

やさしく

降っておくれ

 私たちは

 あまりに

 辛くて

 悲しい

 雨よ あなたを

 恐れている

だけど あなたを

福島を

  こんなにも

  愛している

  雨よ どうか


- 和合亮一 詩集 『 詩の邂逅 』 (朝日新聞出版)より -



みやこオンマmiyako_omma13 at 23:33

2014年08月26日

   
 
風のうた    


落ちる鳥のために。 悲しむ犬のために。 泣く魚のために。

燃える草のために。 ゆっくりと開く花のために。 

光る時間のまんなかで。 いつも。


遠くのひとのために。 声をなくしたひとのために。 

微笑むひとのために。 身をわずかに揺るひとのために。

光る時間のまんなかで。 いつまでも。


手をあげるひとのために。 声あげるひとのために。

歩きだすひとのために。 目のまえのひとのために。

今。 光る時間のまんなかで。 思いをつくして。
                                                                                       
                                           *改行は詩集の通りではない

ー 安 稔和(やすみず よしかず) 詩集 『 焼野の草びらー神戸 今も 』
                                   (編集工房ノア)より ー


 ***眼鏡をかけないと名前まで間違ってしまう…



みやこオンマmiyako_omma13 at 22:30